虫2つ

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今回解説するのは

「春、冬、木の下に虫が2つ」

と言う変わった漢字です。

 

これらの漢字は虫が関係していますが、

比喩表現の意味や由来も

意外なものがあったり様々です。

ことのは先生
ことのは先生
今回は虫が
苦手な方も
いるので、
画像はイラストで
紹介していきます。

では、

まずは読み方から見ていきましょう。

虫2つの漢字「蠢、螽、螙」の読み方は?

漢字

これらの読み方一覧は下記になります。

「蠢」
音読み:シュン
訓読み:うごめ(く)、おろ(か)
「螽」
音読み:シュウ
訓読み:いなご、きりぎりす
訓読み:はたおりむし
「螙」
音読み:ト
訓読み:きくいむし、しみ
訓読み:そこ(なう)、むしば(む)

       

春の下に虫2つの漢字「蠢」の意味、由来は?

この「蠢」の意味は主に2つあります。

蠢

1つ目として、

「わずかに動く様子」

「イモムシなどが絶えず

少しずつ動いている様子」

などの意味があります。

 

2つ目の意味は、

「特定の気持ちが少しずつ出てくる」

こととなり、こちらは

いわゆる比喩表現ですね。

 

由来としては、

「春に虫が活動し始めること」

ことから出来た漢字となっています。

冬の下に虫2つの漢字「螽」の意味、由来は?

「螽」にも2つの意味があり、

1つ目は「虫のイナゴ」を表します。

螽
   
イナゴは直翅(ちょくし)目イナゴ科

に分類される昆虫の1種で、

日本国内の広範囲に生息しています。

 

田んぼや水辺付近に生息しており、

イネ科の植物を食べることより

稲の害虫として皆さんも

ご存知ではないでしょうか?

 

2つ目は「虫のキリギリス」です。

漢字

キリギリスは直翅目キリギリス科

に属する昆虫で、コオロギ類の

近縁種であるとされています。

 

見た目の特徴として全長は4cm程、

後肢がバッタのように発達しています。

 

食性は雑食であるとされており、

植物だけでなく

昆虫や肉も食べるとされています。

 

ここで、虫に詳しい方は

「何でこの虫が冬なの?」

と思った方も多いでしょう。

 

「冬」は音の意味で音読みの

「シュウ」のことを指しています。

 

つまり、イナゴやキリギリスは最初

「シュウ」と呼ばれていたんですね。

※当初違う読みが転じてシュウに変化

 

普通に考えると

「冬の虫」を示しそうですが、

何とも紛らわしい漢字ですよね。

木の下に虫2つの漢字「螙」の意味は?

「螙」の意味は4つあり、

①「キクイムシ」

②「シミ(紙魚)」

③「虫食いがある様子」

④「物事に対して損害が生じる」

などとされています。
  
 

由来はこの2種類の虫の

詳細を見れば分かると思います。

 

①キクイムシは甲虫目ゾウムシ上科

キクイムシ科に属する昆虫で、

「漢字で木食い虫」

と、名前の通りに樹木を食べます。

※こちらの漢字の方が一般的です。

螙

木に穴を空け、幹や樹皮の下に

巣穴を掘って暮らしています。

 

普段は弱った樹木で過ごすのですが、

人が住む住宅の建材や木材家具まで

巣としてしまう場合があり、

害虫として駆除の対象となることで

有名なので知っている方も

多いかもしれませんね。

 

②シミ(紙魚)はシミ科に属する虫です。

虫

その見た目は

海岸に生息しているフナムシのようで、

銀色の光沢を放つ甲殻を持っていて

「雲母虫(きららむし)」

「silver fish(シルバーフィッシュ)」

とも呼ばれています。

 

また、名前にもあるように

「紙を食べる虫」

としても知られており、

紙の中でも和紙や糊のついた表紙を

好んで食べるとされています。

※紙は主に木材でできています。

 

ただ紙だけしか食べない訳では無く、

ホコリ、フケ、小麦粉、衣服の繊維、

虫の死骸など様々なものを食べます。

 

どうでしたか?

虫2つ「蠢、螽、螙」の中で、

なぜか「螽」だけ「冬」が関係ないのか

気になる方も多いと思います。

 

確かに違和感はありますが、漢字には

音を成り立ちとする文字も多いので、

「漢字って面白いな」

と思って頂けたら嬉しいです。

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この記事の監修者

ことのは先生
ことのは先生公立高校国語教師・漢字検定準1級
現役の国語教師です。形式的なWeb辞書ではなく「分かりやすい!面白い!」と思ってもらえる記事を心がけています。時折頂く皆さんからのコメント、ありがとうございます。とても励みになっています。