けりをつける

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今回は慣用句「けりをつける」を

徹底的に解説していきたいと思います。

 

さっそく、漢字表記についてですが、

普通に考えたら

「蹴りと付ける」と考える人が

多いのではないでしょうか?

ことのは先生
ことのは先生
しかし、
「けりを付ける」
が正しい
漢字表記となります。

「けり」は平仮名ですが、昔の人は

鳥の「鳧(けり)」を当てていました。

 

ただし、当て字のようなものなので

正しい漢字表記とは言えませんし、

そもそも「けり」の由来は

この鳥とは全く関係ありません。

 

それでは、まずはこの言葉の意味や

語源などを見ていきましょう。

「けりをつける」の意味は?

意味

まず「けりをつける」とは、

「やり遂げるのが困難な物事に対し、

例え完遂できなくても

自分の納得がいく結論や状態にまで

持って行って終わらせること」

を意味します。

 

例えば叶わない片思いをしている時、

「結局叶わないのなら、

この恋を終わらせよう」と、

気分の気持ちに諦めたことはありませんか?

 

この行動が、

「叶う可能性が低い恋愛に踏ん切りをつける」

という意味で、

「けりをつける」ことになるのです。

 

他にも中々話し合いが終わらない時、

多数決の結果で決めようと

「結論が見えない物事を

話し合いに持って行こうとする」

という意味で使います。

「けりをつける」の語源は?

由来

この慣用句の語源は、

大きく分けて2つの説があげられます。

 

一つ目は、

「古文単語であるけり」

が由来しているという説です。

 

ここでの「けり」の意味は、

「~だった」という過去

「~だなあ」という感動

を意味する助動詞のこと。

 

例えば、竹取物語に

「今は昔、竹取の翁(おきな)

といふ者ありけり」

という一文があります。

 

これを現代語訳すると、

「今となっては昔のことですが、

竹取の翁という人がいました」

となり、「けり」が

過去を表していることが分かります。

 

そこから、「文章の締め」

=「けりをつける」

=「何かに決着をつける」

という意味に転じました。

 

二つ目は、

「平曲などの語り物の締め言葉」

が由来しているという説です。

 

「平家物語」などの平曲は、

「そもそも」という言葉で始まり、

「けり」という言葉で締める

ことが一般的でした。

 

そこから「語り物を終わらせる」

=「けりをつける」

=「何かに決着をつける」

という意味で使われるようになった

と言われています。

 

「けりをつける」という言葉は、

歴史の深いことが分かりましたね。

「けりをつける」の類語、英語は?

類語

最後に、「けりをつける」と

似た意味をもつ言葉と英語を紹介します。

 

まず、代表的な類語は

「かたをつける」です。

 

意味は「けりをつける」と

ほとんど同じなのですが、違いは

「何を使って解決したのか?」

にあります。

 

「けりをつける」は、

主に話し合いを通して

物事を解決の方向に向かわせます。

 

それに対し「かたをつける」は、

主にお金のやり取りを通して

物事を解決の方向に向かわせます。

 

また、その他3種類も合わせると

①「けりをつける」

②「かたをつける」

③「けじめをつける」

④「決着をつける」

⑤「白黒をつける」

などが類語一覧となります。

「決着をつける白黒/けじめをつける」

 

また、英語では、

「bring an end to」

(~を終わりまで持って行く)

「settle」

(解決する)

に該当します。

 

どうでしたか?

意味は単純ですが、思っていたより

深い言葉だったのではないでしょうか?

 

この記事を読んで

「ためになった!」などと

思ってもらえれば嬉しいです。

 

最後まで読んで頂き、

ありがとうございました。

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この記事の監修者

ことのは先生
ことのは先生公立高校国語教師・漢字検定準1級
現役の国語教師です。形式的なWeb辞書ではなく「分かりやすい!面白い!」と思ってもらえる記事を心がけています。時折頂く皆さんからのコメント、ありがとうございます。とても励みになっています。