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「あげる」は、人に何かを与える。
神社等で、お供え物をする時にも使われます。
「餌をあげる」
などの表現は、
本来は誤用です。
実は「あげる」の敬語は、忘れがちなのです。
普段よく使う言葉ほど
意外と間違えていることも多いもので、
今回はそんな「あげる」の敬語について
説明していきたいと思います。
「~をあげる」は間違いだった!?
「あげる」には様々な意味があり、
漢字で「上げる」「揚げる」「挙げる」
などと書くことができます。
「あげる」の主な意味は以下の通りです。
(さっと読み飛ばしてください)
1. 低いところから高いところへ動かす、移す。
例:物を棚の上に上げる
2. 手元に収める、結果を得る
例:利益を上げる、犯人を挙げる
3. 上の階級に進ませる
例:息子を大学へ上げる
4. 程度を高める
例:家賃を上げる、腕を上げる、調子を上げる
5. 物事を終わりにする、力を出し尽くす
例:仕事を上げる、全力を挙げる
6. 人の目につくようにする
例:名を上げる、兵を挙げる、証拠を挙げる、成果を挙げる
7. 揚げ物をつくる
例:天ぷらを揚げる
8. 人に行為を行う、与える
例:(神仏に)供物をあげる、洋服をあげる
今回の「あげる」は8の意味です。
実は、この「あげる」本来の意味では、
「敬うべき対象に差し上げる」
という意味で使われる言葉なんです。
つまり、神仏や上司に「差し上げ」ても
キリンへ餌を「差し上げ」ません。
※動物に対しての差別では無く、
日本語としての説明ですのでご了承下さい。
「キリンに餌をあげる」というように
丁寧語として使う人は増えていますが、
本来は誤用であることを覚えておきましょう。
とは言え、実は誤用だけど皆使っている、
といった日本語は多くあるので
実際発言することに問題はないでしょう。
「あげる」の尊敬語は?
「あげる」の尊敬語は
①「くださる」
②「賜る(たまわる)」
となります。
①「くださる」は、
ビジネスシーンで使うことが多いと思います。
相手に物を与える、という意味があり
「先輩がくださった参考書のおかげで、
無事合格できました。」のように使います。
また、頭に「お」をつける言い方
「お受け下さる」のように
「お」がつくことで敬意が感じられます。
②「賜る」は、非常に丁寧な敬語です。
上司にアドバイスを受けたいとき等に使われ
「社長の考えを賜る」
のように使われます。
堅苦しく思われてしまう時もありますので、
友達にはあまり使わないようにしましょう。
「あげる」の謙譲語は?
「あげる」の謙譲語は
①「差し上げる」
②「進呈(しんてい)する」
となります。
①「差し上げる」は、
自分から相手に行動を起こす時に使います。
相手をたたえ、自分は
相手よりも低い立場の時に使う言葉で
「旅行のお土産を差し上げたいので、
ご都合の良い日時をお聞かせください。」
のように使います。
逆に「差し上げる」の前に
「して」や「を」がついてしまうと
失礼な言い方になりかねないので注意下さい。
「報酬を差し上げます。」
受け取り方によっては、
「貰えてよかったですね」
といった言い方に聞こえる可能性があります。
②「進呈する」の「進呈」は、
相手に贈り物をする意味があります。
「進呈する」の語源ですが、
「進」は「進む」「差し上げる」
「呈」は「差し出す」
という意味があります。
それに「する」をくっつけると、
相手に差し上げるとなり
「優勝者に賞与が進呈されます。」
「同僚に進呈した。」
のように使います。
他の言葉に比べると、
比較的気軽に使える敬語と言えます。
「あげる」の丁寧語は?
「あげる」の丁寧語は
①「あげます」
となります。
①「あげます」は、自分より目上・目下関係なく
敬意を示す言葉です。
「あげます」は、
動詞の「あげる」に助動詞の「ます」
が組み合わさった形で
「このお土産は隣人にあげます。」
ビジネスの場では
「社長にこれをあげます。」
といった表現になります。
「あげます」は誰に使っても良いですが、
比較的友達や同僚に使う敬語とも言えます。
目上の方には、「あげます」より謙譲語の
「差し上げる」を使った方が良いでしょう。
この記事の監修者
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「あげる」の尊敬語は「くださる」ではなく、「あげる」そのものが「やる」の謙譲語です。
・犬に餌をやる
・先生に本をあげる/さしあげる
つまり、「あげる」と「さしあげる」はどちらも同じ「やる」の謙譲語です。
「くださる」は「くれる」の尊敬語です。
・A君が本をくれる
・先生が本をくださる
したがって「あげる」と「くれる」はそもそも別の単語ですので、普通語/敬語の関係ではありません。
・私がA君にあげる
・A君が私にくれる
記事の「先輩がくださった参考書のおかげで無事合格できました」という例で言うと、「A君があげた参考書のおかげで無事合格できたよ」がおかしいことに気づくと思います。